みなさんこんにちは、歯科衛生士の岸です。
一生懸命に歯を磨いているのにもかかわらず、なぜか歯周病が改善しない、虫歯が進行してしまう、お口の中に不快な症状があるけれど、原因がはっきりしない。そんなお悩みのある方はいませんか?
実はそれらの影に「ドライマウス」が存在していることがあります。ドライマウスには唾液量の低下だけでなく、口腔粘膜の保湿力の低下や口腔乾燥感を持つ症例なども含まれます。特に唾液量が低下すると、虫歯や歯周病に影響を及ぼすだけでなく、食事や会話など日常生活にも支障をきたしていきます。
今回はそんな「ドライマウス」についてご紹介していきます。
ドライマウスは口腔内全体に現れる症状ですが、まず舌を診ることでいろいろな情報を得ることができます。
ドライマウスは舌の状態に応じて大まかに①カラカラタイプ、②ネバネバタイプ、③ヒリヒリタイプの3つに分けられます。
①のカラカラタイプは舌だけでなく頬粘膜など口腔粘膜の水分が蒸発し乾燥していきます。②のネバネバタイプは唾液の漿液性(サラサラな唾液成分)と粘液性(ネバネバな唾液成分)のバランスが悪いことが多く、泡状の唾液が舌に残っています。③のヒリヒリタイプは舌の表面の細かな突起の萎縮があり、舌が強い赤みを帯びています。
ドライマウスの1つである唾液量が低下する原因は、シェ-グレン症候群という疾患や、噛む頻度の低下、薬剤の副作用やストレスなどさまざまです。また、入れ歯の新調による口腔環境の変化や、歯磨き粉などが口の粘膜に合わないことや、市販薬の服用、日常生活の忙しさや疲れなども原因の1つとなります。
また、酸蝕症といって歯の硬組織、特にエナメル質の表面が欠けてしまったり溶けてしまったりする症状の原因についても食品などの酸や胃液などが代表的に挙げられますが、それだけではなくドライマウスも原因のひとつだと言われています。そして、最近の健康ブームでお酢などを日常的にとられる方もみえますが、お口の乾燥によって歯へのダメージが大きくなってしまうので、特に注意が必要です。
ドライマウスの改善のためには、原因となっているものを取り除くことや、症状を和らげるための対処療法が行われます。対処療法でよく用いられる保湿剤にはジェルやスプレー、マウスリンスなどがあります。
ジェルは保湿力が高いので、カラカラ・ヒリヒリタイプの方に適しています。うがい等で口の中を潤してから、マッサージをするように塗布すると効果が高まります。スプレーは即効性が高く、特にカラカラ・ネバネバタイプの方に適しています。マウスリンスは口腔内全体や喉まで広がりやすいため、特にカラカラタイプの方に適しています。
ドライマウスの患者さんは年々増加している傾向にあります。少しでも気になる症状があればお気軽にご相談くださいね。
デンタルハイジーン2021年4月号より転載
こんにちは。今月ブログを担当させていただきます、遠藤奈穂です。
皆様、日に日に暑くなってまいりましたが、お健やかにお過ごしのことと存じ上げます。
毎日コロナ、コロナ、こればかりのワードが日常で飛び交っております。
コロナウィルス感染の恐怖による受診控え。
この事についても、私の前号ブログに書き記しました。
ただ、日々診療をしています中で感じる事は、さすがに最近は受診控えが少し減ったように思います。ワクチンも世の中に浸透し始め、オリンピックも始まる事もあり、このまま、落ち着いてくれればと願ってなりません。
では、今月の話題に参りたいと思います。
毎回の事、お聞きになりたいことは皆様あまり大きく変わる事もないので、
私の担当させていただいております患者様からよくある質問の一つについてお答えしていこうと思います。
毎日沢山質問があり、お答えしております中で、自分でも疑問に思い、調べてみたことがございます。
それは、加齢には抗えないけれども、老化には抗えるという事!!
女性は必見です!!(女性だけではなく、皆様に日々心がけていただきたい事でもありますが・・・)お家時間が増えている今だからこそ、もう一度見直していただきたいことでもあります。
私は自分の体の事も考え、ヨガや、ピラティスを実践しています。
私の年齢まで生きてくると、さすがに体も少しずつ衰えが目立ってきており・・・。
自律神経を整え、日々の疲れを自分自身の力で免疫力を高め、癒せるようにということで始めた事でした。沢山の癒しの中での気づきでした。
老化は何も手足や胴体、顔に限ったことではなく、口腔内にも言えることなのです。口腔内は年齢を重ねるごとに癖が顕著に表れてくるようになります。
要は、頑固になるのですね。
そこで、柔軟な頭になり、色んなトレーニングをしなくてはならないというお話です。
舌もその一つです。
舌の事にも触れたいところですが、これだけでかなり長いストーリーになりますので、また私の次のブログに書かせていただきたいと思います。
という事で、話を元に戻し、口腔内の老化は勿論の事なのですが、実は、あまり重要視されていない、声についても書かせていただきたいと思います。
実は、あまり知られていない事実ですが、声もトレーニングをしなくては、衰えていくのです。
今、私たち人間の死因ランキングはどうなっているか、もうご存知の方が沢山いらっしゃると思います。
一位・・・悪性新生物
二位・・・心疾患
三位・・・脳血管疾患
四位・・・肺炎
です。
ここまでで思う事。たとえ、寿命であっても、寝たきりではなくて、元気で長寿を全うする!!これって皆様が願う事なのではないでしょうか?
ここで、あれ??四位って意外と肺炎?なの?と思われた方、いらっしゃると思います。
そうなのです!!四位で肺炎が上がってきているのです。
俗にいう高齢者で良く聞かれます、‘誤嚥性肺炎‘
もその中に入ります。
誤嚥性肺炎はみんながなってしまうのか???
そうでもないのです。
では、何がそれを予防してくれるのか?
予防するのには意外に近くに予防できるコツがあるのでした。
それは、‘声‘です。
音声障害は嚥下障害とリンクしていることが多いのです。
要は、声がしっかり出る方は嚥下も保たれていることが多く、
誤嚥を来す方は声が弱いことが多いのです。
その声帯ですが、声帯の老化は50歳ごろから発生し、音声障害を来します。
その後に嚥下筋の減弱に伴い、嚥下障害を起こすのです。
ですから、声がかすれてきたら、要注意!!という事なのです。
皆様、是非、予防していきましょう!!
予防には声帯の維持が必要になってきます。
声帯の維持のために注意していただきたい事!!4つ!!
一日最低1.5リットルの水分摂取を心がけましょう!!
ただし、カフェインが入っていないものでお水、お茶に限定されます。
悩ましいことですが、近年増加するアレルギー性炎症や、逆流性炎症のコントロールを何らかの方法でする必要があります
喉、声帯も筋肉、粘膜で構成されています。
勿論、声を無理やり発生するのではなく、心地よいと思われる程度で発生することで、適度な筋トレになります。
加齢とともに、全身の活性酸素が増加するのでありますが、声を出すことにより、声帯にも活性酸素が増加することがわかり、その活性酸素の抑制する抗酸化サプリメントが有効とされています。
以上、4つが予防策に当たります。
皆様、是非、お試しになってください。
いつまでも若々しく、健康でいたいですものね(⌒∇⌒)!!
是非、私達と共に、頑張りましょう(*^^)v
そして、健康寿命を延ばしていきましょう!(^^)!
こんにちは。歯科衛生士の渡邊です。
患者さんの中には、「金属の被せ物をいれてから体に湿疹ができてしまった」、「ゴムの手袋で触ると口周りが荒れます」、「アルコールを使うと赤くなります」と言われる患者さんがみえます。
今回は、そんなアレルギーについてお話していきたいと思います。
☆アレルギーとは
生き物には自分の身体を外の敵から守るための、細胞レベルのミクロなしくみ、“免疫”があります。免疫を担当している細胞は、外の敵を見分けて仕事をしていて、無害なものはスルーしておくのがいいのですが、無害なものを間違って相手にしてしまい、その結果自分にとって不都合なことが起きてしまうこと、それが“アレルギー”です。
相手にされてしまった無害なもの(タンパク質でできていて、アレルゲンといいます)は身体に侵略する意図をもっていないので、身体の表面に付着している状態です。
身体の表面は、皮膚と粘膜でできています。そのうちのどこの場所でアレルギーが起きているのか、そして何をアレルゲンとして反応しているのか、それによってアレルギー疾患(表1)はアトピー性皮膚炎や気管支喘息といった名前がついていて、異なる症状がみられます。
今回は特に歯科と関わりが深いアレルギーについてお話していきたいと思います。
☆金属アレルギー
歯科では金属を使うことも多く、金属アレルギーも気になります。金属そのものに免疫反応は起こせないので、人体のタンパク質の構造を金属が変化させることで起きると考えられますが、詳しいことはわかっていません。
皮膚パッチテストをすると陽性となることが多いのですが、そのことと症状とが結びつくのかは判断が難しいところです。実際に金属を除去して症状が改善するかどうかで判断せざるをえません。
☆ラテックスアレルギー
歯科で関係するアレルギーの代表は、ラテックスアレルギーです。これは天然ゴムに含まれるラテックスタンパク質に対して免疫反応が起こり、症状がみられることです。天然ゴム製手袋、歯科用ラバーダム、歯科矯正用エラスティックなどの接触によって起きます。ラテックスが含まれていない製品を使うことで症状を防ぐことが可能です。
ラテックスと耕造が似ている果物の抗原にも反応が起きることがあり、ラテックス-フルーツ症候群といいます。
アボガド、キウイフルーツ、栗、バナナがハイリスクといわれていますが、それ以外の果物でもアレルギーが起こりえます。
アレルギーのある子どもたちは、普段は普通に元気に過ごしています。ですが、たとえば食物アレルギーがあれば、原因となる食物を食べることができなかったり、間違えて食べると症状が起きてしまったりします。
健康を守る私たちは、職種の壁をこえて、アレルギーのある子どもたちの生活を多角的にサポートしています。お口の中の専門家も、もちろんその仲間なのです。
当医院では、初めて来ていただいた患者さんに必ず問診を行っております。
その際に薬、食物、ゴム等のアレルギーがある方は問診表に記載していただくか、直接お申し出ください。
ご自身が金属アレルギーか不安な方は、被せ物を入れる前に皮膚科に紹介状を書いて詳しく検査を受けていただくようにしています。また、ラテックスアレルギーの方にはアレルギーが出ないように手袋の種類も変えておりますので安心してご来院ください。
雑誌「デンタルハイジーン」令和2年2021年3月号より転載
こんにちは歯科衛生士の井上です。
ストレスや疲れが溜まっている時にぐーっと食いしばっている状態で寝ていることがあり、朝起きると顎関節部に疲労感があります。また、日中起きている時間も癖がついているのか上下の歯を噛んでしまっている事があるのですが、実は危ない状態なんです!この噛んでしまっている状態は TCHという癖で、今回は詳しく TCH について話していこうと思います。
なかなか普段 TCH という言葉には聞き慣れないと思いますが、”Tooth Contacting Habit =歯の接触”という意味で上下の歯を接触させ続けてしまう癖のことで、咬筋などの筋肉は持続的な緊張状態により疲労してしまい、顎関節にも負担がかかってしまいます。そのため、顎関節症の原因の一つとして考えられてきました。最近では、歯の知覚過敏症や歯周病の悪化にも影響すると考えられています。就寝中のクレンチング(噛みしめ)に比べると TCH は非常に弱い力しか歯(歯周組織)にかかっていません。しかし、ここで「ちょこんと触れてるぐらいなんでしょ?それなら大丈夫なんじゃあ…」と考えがちですが、1日の中で上下の歯が接触している時間は『20 分以内』と言われているんです!食事の際に 20 分以上の時間がかかってますという方でも、実は、食事の時は上の歯と下の歯の間には食べ物が介在しているので、歯と歯が直接触れている時間というのはごくわずかなんです。歯を支える歯周組織には、通常その程度の時間しか負荷がかかっていないのに、TCH のような長時間、持続的に負荷がかかった異常な状態となると歯周組織も疲労してしまいます。
TCH は顎関節の異常や顔面・頸部の筋肉痛や咬耗、かぶせものの脱離といった所見が見られますが、より大きく見られるのが頬粘膜や舌の圧痕です。また、舌のポジションにも注意が必要です。舌先が上前歯口蓋側の少し後ろの口蓋粘膜(スポット)に触れているのが理想の位置になります。もし、舌先が前歯舌側に触れている状態だと”低位舌”(悪習癖)の可能性があり、TCH が疑わられる状態です。理想の位置に舌先がスポットに触れていると舌先だけではなく、舌全体が上に持ち上げられて広い面積で上顎に触れていることにより臼歯は触れずに少し離れている状態となります。今回は TCH とはどういうものなのかというお話をしていきましたが、もし当てはまるようなことがあったり、なかなか自分では気づきにくい癖でもあります。当院でも TCH についての話をさせていただいでいるので一度スタッフに相談してみては?
雑誌「デンタルハイジーン」 2021 年 2 月号より転載
2021年4月26日
中日新聞に掲載された
遠藤院長のコラムをご紹介いたします。
Q)私自身、虫歯が多いのがコンプレックスでした。子どもの虫歯を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?子供用の歯磨き粉や歯ブラシはどんなのを選ぶといいのでしょうか?
お子さんの虫歯予防にはご両親の仕上げ磨きが1番大切となります。
仕上げ磨きで注意して頂きたい部位ですが5歳までは上の前歯の歯と歯の間と下の歯の奥歯から2本目の歯と歯の間が虫歯になりやすい部位です。特に前歯はボトルカリエスと言って乳歯の虫歯の好発部位になりますので注意して磨いてください。
6歳からは乳歯一番奥から永久歯は萌出してきます。これは6歳臼歯と言って全ての歯の中で一番大きな歯です。そのため噛むのに一番重要歯になります。その他に、これから他の乳歯が永久歯に生え変わるのに噛み合わせの高さや歯並びにも重要な役割をします。
歯磨き剤はフッ素配合の歯磨き剤を使用してください。フッ化物配合量の上限は1500ppmですのでなるべく高濃度の物が良いでしょう。最後に歯ブラシですが大なるべくブラシの小さいものを使用して細かく1歯ずつ磨くようにしてください。
小学生の高学年で6歳臼歯に虫歯が無いお子さんはその他の歯が虫歯になっている事はありませんので是非チェレンジしてください。
皆さんこんにちは!
4月の歯の豆知識を担当させていただきます、歯科医師の近藤です。よろしくお願いします!
新しい年度を迎え、少しずつ冬の寒さも和らいで暖かくなってきましたね。
桜の開花や何かと新しい時期になりますが、引き続き感染対策には気を付けて外出するときには注意を払いましょう。
さて、今回のテーマは『歯を失う原因』についてです。
皆さんは歯を失う原因が何かをご存知でしょうか。多くの方もご存知の通り、歯周病と虫歯が2大原因として挙げられ、全体の6割以上を占めています。歯周病と糖尿病については以前述べさせていただきましたが、生活習慣病として身近な病気の一種として知られています。今回は歯周病について詳しく見ていきましょう。
現在、歯周病に罹患している人は成人の8割といわれています。にもかかわらず、ご自身が歯周病であると認識している方は少ないと言われています。ではなぜ歯周病であると認知されにくいのでしょうか。歯周病は静かな病気(Silent disease)と呼ばれています。心臓病、糖尿病などの生活習慣病と共通し、初期段階では本人の自覚症状がほぼない病気に分類されています。この病気の怖いところは、気が付いたときにはかなり進行してしまっているケースが多いことです。痛みやぐらぐらしてきたと思い歯医者さんに通ってみたらもう抜かなければいけない状態だったとなれば、すごくショックですよね…。
ここで簡単な歯周病のチェックをしてみましょう。
・歯茎に赤くはれている部分がある
・口臭が気になる
・歯と歯の間にものがつまりやすい
・歯磨きの後に出血する
・時々歯が浮いた感じがする
・指で触るとぐらつく歯がある
・歯茎から膿が出たことがある
この中で1-2項目が当てはまる方は歯周病の可能性があります。皆さんはどうでしたか?
ご自身が歯周病なのかどうかを知るには、こういった簡単なチェックをしてみることもですが一番確実なのは歯医者さんへ検診に行ってみてもらうことをお勧めします。歯周ポケットを測定し、どこに汚れがたまりやすいのかをご自身で理解することで毎日のブラッシングの質が格段に向上します。歯の周りの汚れ(プラーク)は細菌の塊です。その中には歯周病や虫歯などの多くの細菌が存在します。ご自身のブラッシングと歯医者さんでの定期的な検診、プロフェッショナルケア(歯石とりやブラッシング指導)で皆さんの歯をより健康な状態に保っていきましょう。
当院では歯周病や虫歯、その他様々なお口の悩みを抱える患者様一人一人にカウンセリングをさせていただき、患者様に合った治療法をご提案させていただいています。気になった方、話だけでも…と思った方などはいつでも相談を伺いますのでお気軽にお申し付けください。
こんにちは。歯科助手の福井です。
最近、当院の衛生士さんにお口の中を見てもらいお掃除をしてもらったところ、人生初の虫歯が見つかりました!ショックでしたが、小さい虫歯だったのですぐに先生に治療してもらい、一日で虫歯治療が完了しました。定期的にお口の中を見てもらい早期発見、治療の大切さがわかりました。今日はインプラントをいれたあとの定期健診の大切さについてお話します。
失った歯に変わる補綴物は入れ歯、ブリッジ、インプラントと三つあります。今日は3つの選択肢の中の一つである「インプラント」のメンテナンスのお話をしていきます。
インプラントは「固定式なので入れ歯のような違和感がなく食事ができる」「審美性が高い」など評判ではあるものの「グラグラする」「抜けてしまった」というトラブルも、もちろんあります。インプラントを失う原因には、インプラントの歯周病である「インプラント歯周炎」や、過剰な噛む力がかかったことによるインプラントの脱落などがあります。
そういったトラブルを未然に防ぐためには歯科医院での定期的なメンテナンスと、レベルの高いセルフケアが欠かせません。インプラントをできるだけ長持ちさせるために大切なことを紹介していきます!
歯科医院ではインプラント治療を行う際に、治療後も定期健診に通っていただくように説明をしています。しかし入れてから何年か経つと痛みや違和感がないからといった理由でしばらく定期健診をお休みしてしまう患者さんも多くいます。
インプラントは、目に見えている噛む部分から歯の根っこにあたる部分まで完全に人工物ですのでインプラント自体は細菌に強いです。ですが、インプラントが埋まっている周りの歯ぐきは天然の歯と同じように歯周病になるリスクはあります!これをインプラント周囲炎といいます。他には噛む力が強い方など、噛む力を受け止めるうちにネジがゆるんだり人工歯が欠けたり、インプラント自体がダメージを受けることもあります。
みなさんが違和感や痛みを感じてから来院していただいても対応が難しい場合が多く、最悪の場合インプラントが抜けてしまうことになる場合もあります。
インプラントは保険がきかないので自費治療になります。健康のためにお金をかけて入れたインプラントを長持ちさせるには日々のケアがしっかりできているかチェックすることや健康状態を確認するのはインプラントを長持ちさせるには不可欠です。
ではインプラントと天然歯は何が違うのか説明していきます。
天然歯では、歯茎の内部に繊維がのびていて、歯と密着に絡みついています。これは歯と歯茎の付着を強化する。体内への細菌の侵入を防ぐバリアの役目などがあります。
歯を失えば、この繊維もいっしょに失われます。なのでインプラントまわりの歯茎は細菌に弱く、歯周病になりやすいのです!
更に、天然歯には、歯の根っことあごの骨の間に「歯根膜」と呼ばれる厚さ0.5mmほどの薄い組織があります。この歯根膜が歯の根と顎の骨を強固に結び付けています。
歯根膜は歯の根っこと顎の骨のあいだにあるクッションのようなもので、かんだときにさまざまな方向から生じる力を吸収・分散させ過剰な力が加わらないようにしてくれています。また、かんだときに硬さや、感触を感知して無意識下で噛む力を調節してくれる機能もあります。
しかし、インプラントはインプラント体のチタンとあごの骨が直接結合しています。
クッションやセンサー機能がないので、過剰な力がによりトラブルがおきやすいのです。
ではインプラントの歯周病はどのように進行するのでしょうか?
天然歯に起こる歯周病とインプラントに起こる歯周病の犯人はどちらもプラークが原因です。
インプラントの歯周病はインプラントに付着したプラークが周りの歯ぐきを炎症させて、腫れや出血を起こします。これは専門的には「インプラント周囲粘膜炎」といいます。
そして、それが悪化すると、あごの骨にも炎症が及ぶインプラントの歯周病=「インプラント周囲炎」となります。
歯周炎が進むと最終的には骨が失われてインプラントは抜けてしまいます。
実はインプラントのほうが歯周病には弱いのです。
普通の歯周病では顎の骨が失われる点は共通していますが、歯周病では炎症は骨には及んでいません。炎症と骨の間には常に歯ぐきがあって、細菌が骨の内部に入り込まないように防波堤となっています(骨の消失にあわせて歯ぐきも下がっていきます。)
しかし、インプラント周囲炎では骨の内部に細菌が入り込んで炎症がおきています。
こんにちは!今回3月の歯の豆知識を担当させていただく、歯科医師の中町侑右です。よろしくお願いします。
2021年ももう3ヶ月が経ちました。1年も4分の1が終わってしまったと思うと、すごく時間が過ぎるのが早いなと感じます。また4月からは新年度も始まり、新しいスタートをきるという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。当院にも新しいスタッフが入りさらに活気が増し、みんなでレベルアップしていけるよう日々頑張っています!
新しい環境になると知らず知らずのうちにストレスを感じてしまうことも少なくないと思います。元気なつもりでも気持ちや身体は疲れているもので、家に帰るとすぐに寝落ちしてしまってということもあると思います。そんな時でも忘れて欲しくないのが、やはり毎日の歯磨きです。
1日に何回、いつ歯を磨きますか?
みなさんは1日に何回歯磨きをしていますか?今では1日に2回という方が約50%で半数近く、3回という方も30%近くになります。しかし30年ほど前までは1日に1回しか歯を磨かない人がほとんどでした。それだけ皆さんの歯、口腔に対する意識が高くなってきているという現れだと思います。
理想は毎食後に歯磨きしていただくのが良いのですが、昼食の後などは職場の関係もあり難しいという方もいらっしゃるかと思います。そんな方はうがい薬やフロスなど補助具だけでも使っていただくといいかもしれません。
また先程のように、周りの環境が変わって忙しくて歯磨きをする時間がないという方もいらっしゃるかもしれません。今でも1日1回しか歯磨きをしないという方も20%近くはいらっしゃるので、そんな方々は1回の歯磨きの効果を最大限にする必要があります。その一つの方法として歯磨きをするタイミングが大事になるのですが、一番歯磨きをしないといけないのは夜寝る前なのです。寝ている間は唾液の出る量が少なくなります。唾液は口腔内の細菌に抵抗してくれる働きがあります。唾液の量が少なくなると虫歯菌、歯周病菌の活動がすごく活発になってしまうので寝る前に歯磨きをしてその菌の量を減らしておくことで、寝ている間の活発な活動を抑えることができます。
歯を抜かないといけなくなる原因
80歳まで20本以上の歯を残そうという8020運動の達成率は今や50%を超えます。多くの方がご自身の歯を残すことができていますが、その反面歯周病の有病率は年齢を増すごとに年々上がっています。残る歯も多くなっていますが、その歯が歯周病になってしまっているということです。
歯を抜かないといけなくなる原因は様々ですが、歯周病によって抜歯に至る割合が一番高いのです。ですので、80歳になって多くの歯が残ってはいますが、グラグラで噛めないという方が少なからずいらっしゃるということです。これからは80歳になって歯を残すだけでなく、その歯でしっかり噛めるということが重要になってくると思います。
一度歯周病になってしまった歯を元に戻すということはなかなか難しいですので、小さい頃、若い頃からの予防が非常に重要になってきます。歯磨きをしやすい口腔内環境を作ってあげることで長期的な予防になります。具体的には、やはり歯並びがカタカタなってしまっていたりすると、そこには汚れが溜まりやすいですので将来的に歯周病になりやすくなってしまいます。矯正によって歯並びを治すことも、見た目の改善だけでなく長い目で見たときに歯を長く持たせる、歯周病を防ぐということにつながります。
最初にもお話させていただきましたが、今の時期は環境の変化もあり、とても忙しい時期だと思います。しかし、どんなに忙しくても、会社の飲み会などで帰りが遅くなっても、毎日の歯磨きだけは忘れずに行って下さい。1日1日の積み重ねが、死ぬまで自分の歯で噛める歯を作ってくれます。
こんにちは。歯科衛生士の岸です。
厳しい寒さもだんだんと和らぎ、春の陽気を感じられるようになりましたね。 この春から、新しい生活がスタートするという方も多くみえるのではないでしょうか? 新生活がスタートすると、どうしてもストレスを感じてしまう傾向にあります。 “ストレス社会”と呼ばれている現状、歯ぎしりをおこなう方は増加傾向にあり 身近なお口のトラブルの1つでもあります。
眠っている時の歯ぎしりを指摘されたり、朝起きるとなんとなく顎が痛い・頭痛や 首筋の凝りが慢性的にあるという症状が出たりするのは、 眠っている時に歯ぎしりをしているからかもしれません。
今回はストレスともかかわりが深い、睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり)について ご紹介していきます。
睡眠しているときの状態は大きく分けて「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の2種類に分けられます。 ノンレム睡眠はさらに睡眠段階1~3の3段階に区別され、一般に眠り始めると 浅いノンレム睡眠(睡眠段階1と2)、徐々に深いノンレム睡眠(睡眠段階3)へと 睡眠が深くなっていきます。 睡眠時ブラキシズムの多くは浅いノンレム睡眠(睡眠段階1や2)の時に発生します。 もっと詳しく調べると、特に睡眠周期の後半の浅いノンレム睡眠に多く認められています。
睡眠時ブラキシズムとは眠っている時に無意識に行ってしまう、 食いしばり(クレンチング)やギリギリさせる(グライディング)といった 歯を噛みしめる運動のことで、8割くらいの人がこの睡眠時ブラキシズムを 行っているといわれています。 このような運動は起きている時に行う正常な運動とは違い 異常に強い力が発揮されてしまっています。
そして、睡眠時ブラキシズムのリスク要因はさまざまです。 ①睡眠障害 不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害との関連性が報告されています。
②服用薬 中枢神経に作用する抗うつ薬、精神刺激薬など、特定の薬の服用が睡眠時ブラキシズムを悪化させることも報告されています。
③嗜好品 睡眠前の過度な飲酒・喫煙、カフェインの過剰摂取などは睡眠時ブラキシズムを悪化させる可能性があります。
④性格傾向・ストレス 特にストレスは長きにわたり重要なリスク要因として捉えられており、睡眠時ブラキシズムを自覚する人はそうでない人よりも不安傾向を示すことが多く、ストレスレベルが高いです。
⑤遺伝子要因 睡眠時ブラキシズムを自覚する人の家族・親族に同時に認められる傾向があることや、一卵性双生児で二人ともに睡眠時ブラキシズムを自覚する頻度が高いことが明らかになってきました。
睡眠時ブラキシズムは歯や顎にダメージを与えるだけではなく、 睡眠の質にも大きく関係してしまうので、できるだけ早めの対策がおすすめです。 歯科医院では睡眠時に装着するマウスピースを作成することもできますので、 お気軽にご相談くださいね。
雑誌「デンタルハイジーン」2021年1月号より転載 |
こんにちは。歯科衛生士の渡邉です。
定期健診では色々な悩みや、不安を持った方がいらっしゃいます。例えば、「うちの子なかなか歯が抜けないんです」、「抜けてから半年経ちますが、永久歯は生えてくるんですか?」、「この歯は、くっついて生えているんですか?」など様々です。今回はその中でも、比較的多く見かける、『先天欠如(せんてんけつじょ)』と、『癒合歯(ゆごうし)』についてお話していきたいと思います。
《先天欠如(せんてんけつじょ)》
歯の異常のひとつで、生まれつき歯胚(しはい)と呼ばれる歯の卵がない状態のことを言います。卵がないので生えてくることはありません。通常乳歯の場合20本、永久歯の場合(親知らずを除き) 28本ですが、先天欠如の場合は全て揃いません。
乳歯(発症率0.2~2.5%)と比較し、永久歯(発症率10%)のほうが多くみられます。また、永久歯の先天欠如は下の5番目の歯(下顎第二小臼歯)、下の2番目の歯(下顎側切歯)に好発します。
先天欠如がある方は、なるべく乳歯を長持ちさせるようにケアしていきます。
万が一、抜けてしまった場合には矯正をして歯並びを治す方法や、インプラントで補う方法があります。
図①
図②
《癒合歯(ゆごうし)》
本来1本ずつ生えてくる歯が、2本くっついて生えてきてしまう歯の事を言います。
永久歯よりも、乳歯に多く見られます。乳歯癒合歯(発症率1~5%)は、ほとんどが下顎AB (図①)、上顎AB(図②)にみられます。くっついている部分の溝が深い場合は、プラークがたまりやすいので注意が必要です。
また、歯の頭だけではなく歯の中の神経もくっついていることがあり、治療が難しいので、虫歯にならないように予防が重要になってきます。
何か異常があれば早めに気づいてあげられるよう、普段からこまめに気にかけてあげて、日常の会話で「グラグラの歯は抜けたかな?」など聞いてみたり、仕上げみがきをするときに確認してみてください。
レントゲン写真を撮ると、親知らずを含めた永久歯が全てあるのかが分かりますので、気になる方はレントゲン写真を撮ってみましょう。