『顎関節症』とは
『顎関節症』とは、顎関節周辺に何らかの異常が現れる慢性的な疾患のことをいいます。
顎関節は下顎骨の左右の上端と側頭骨下の窪みとの間(両耳の直前)にある左右1対の関節です。
下顎骨は顔のなかで唯一可動性のある骨で、ここを支点として上下左右に動き、顎の開閉や咀嚼を行ないます。
顔の骨のなかで歯を保持しているのは上顎骨と下顎骨ですが、何らかの原因で噛み合わせと関節のバランスに問題が生じると、関節円板(上顎骨と下顎骨の間でクッションの役割を果たす軟組織)や筋肉に悪影響を及ぼし、顎関節症を発症しやすくなってしまいます。顎関節症は、この関節円板の滑りが悪くなったり位置がずれることによって生じます。
顎関節症の主な症状
顎関節症になると、顎の痛み、顎の動作音(カクカク)、口の開閉困難といった口周りの症状や、頭痛、耳鳴り、肩こり、首のこりなどの全身的な症状がみられます。これらの原因はさまざま考えられますが、多くは上下の歯の噛み合わせが悪く、噛むときに下顎が前・後・横・斜めにずれることで症状が現れます。
下顎は、頭から筋肉や靭帯で吊られた状態になっているため、何キログラム(体重の約10%)もある頭を支えている肩や首、その他の筋肉には負担がかかります。噛み合わせがずれている場合、その負担は非常に大きく、肩や首、その他の筋肉のバランスが崩れ、全身的な症状となって現れるのです。
顎関節症の治療法
顎関節症の原因はさまざまなので、治療法も原因に対応したものを選択する必要があります。
主な治療法は、薬物療法(非ステロイド系抗炎症薬を使用する)、運動療法(顎関節周辺の筋肉の緊張をほぐす筋マッサージ、手で口を大きく開けて開く範囲を増大させる顎関節可動化訓練)、スプリント療法(顎関節症治療用マウスピースを使用する)、生活指導(顎関節に負担をかけるような癖を禁止する)などがあります。