歯並びや噛み合わせが悪くなる原因は、口呼吸や指しゃぶりなどの悪い癖にあることは、たくさんの研究で明らかになっています。その根本原因は口腔筋の正しくない動きにあると考えられています。ところが、歯列矯正治療では、口腔筋の問題に対して根本的なメスを入れてはいません。永久歯が全部生えそろってしまってからでは、あごと顔の発育異常を治すことは難しくなります。

 

アメリカなどでは、矯正治療のできる年齢に達する前の段階からマウスピースを装着して、ねじれた歯やあごの発育を正すことで、不正咬合を予防しようと考えられるようになってきました。そのマウスピースの一つが「トレイナー」です。

 

トレイナーで口呼吸を是正して噛み合わせが悪くなるのを早めに処置することで、歯列矯正が順調に進み、歯の状態が悪化しにくくなります。歯列矯正治療を始める前はもちろん、矯正治療をしている間にも使えます。子供用にデザインされたタイプでは、最初はやわらかいマウスピースを使い、6~8ヶ月後に固めのものに変えます。トレイナーは毎日使う必要があります。

 

また、矯正装置で歯並びを整えても、くちびるや舌の筋肉のバランスが整っていないと不正咬合は再発してしまいます。あごを拡大するわけではありませんが、よい歯並びを保つために口の筋肉の訓練法があります。

 

「口腔筋機能訓練療法(マイオファンクショナル・セラピー、Myofunctional Tyerapy=MFT)です。これは矯正歯科医と筋機能訓練療法士が協力して行うプログラムで、「トレイナー」もMFTの一つです。

 

口腔筋機能訓練療法では、まず口の筋肉の働きが正しくない部分を明らかにして、毎日筋肉の動かし方を練習します。また、食べ方、飲み込み方の練習なども行います。美容のためのエクササイズと同じで、毎日続けることで少しずつ効果が現れてきます。

 

ペットボトルを使ってくちびるを閉じる力をチェックし、くちびるの筋力アップにより口腔環境を整える方法もあります。「くちびるエクササイズ」です。テレビ「はなまるマーケット」(TBS系)でも紹介されて反響を呼びました。東京江戸川区で開業している歯科医師・宝田恭子氏が考案しました。

 

エクササイズによってくちびる力を鍛えることにより、顎関節症が軽くなった、口臭がなくなった、舌苔が少なくなった、風邪を引きにくくなった、顔がシャープになったといった声が寄せられているそうです。

 

くちびるの筋力状態を知る簡単な目安は、まず鼻呼吸をしているか口呼吸をしているかです。くちびるの筋力が低下していると、舌の位置が下がり、どうしても口呼吸になりがちです。口呼吸は不正咬合の原因にもなりますし、口呼吸をすると体の抵抗力がダウンするので、虫歯や歯周病が起こりやすくなります。つまり、くちびる力のアップは歯の健康と美しさにも欠かせないのです。

 

 

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