最近、歯周病治療に内服の抗菌薬(抗生物質)を使う方法が考案されています。私たちの口の中にはミュータンス菌のような虫歯菌や歯周病菌がたくさん住み着いています。その数は約50~100億、種類にして約600種類もあります。とくに歯周病の発症や進行には、特定の嫌気性細菌(空気のないところで生息する菌)が関わっていることが知られています。
歯周病の患者さんの口の中のプラークを取り出し、位相差顕微鏡(口の中の細菌や微生物を生きたまま動き回る状態で、大画面に映し出すことのできる特殊な顕微鏡)で、どのような細菌や真菌が感染しているかを確認します。そして、それらの菌を除去するのに適した抗生物質を飲み、抗真菌シロップでのうがいで歯磨きを行います。
位相差顕微鏡でたくさんの歯周病菌が検出されたら、ジスロマックという抗生物質を使います。この薬は嫌気性菌に対して強い抗菌力を発揮する抗生物質で、細菌を除去すると共にその増殖を抑えます。
これまでの歯周病治療は、歯磨き指導、歯石の除去が中心でした。でも、それだけでは悪い菌を完全に取り除くことはできません。
そうしたいわば外科的な基本ケアに加えて、ときどき位相差顕微鏡で菌の状態を確認し、必要に応じて抗生物質やカビ取り歯磨き剤を併用する内科的治療の2本立てで治療を行うことで、より効果的な歯周病治療ができるようになります。